体調を崩したりトラブルに合う危険性も
食事の問題
現代の日本は物資が豊かなため、ほとんどの人が飢えを感じることはありません。食事を楽しむのが当たり前の環境ですが、一人暮らしの場合は1日の大半の食事を一人でするため、食事をする際に寂しさを感じてしまう孤食に陥りがちです。「孤食はリスクが多い」と近年問題になっていますが、それは一人だと食事の内容や量に気を遣わなくなったり、食事そのものに意欲がなくなったりするからです。また、近隣にスーパーなど買い物できる場所がない地域や足が悪くて買い物自体に行けない人も低栄養になる恐れがあります。場所が遠いと買い物に出かけるのが億劫になります。肉や魚などの新鮮な食材ではなく長期保存のきく食事がメインになることで栄養が偏ってしまいます。
認知症の進行
一人暮らしの高齢者は孤独を感じることが多く、孤独を感じるほど認知症のリスクも高まる、といわれています。一緒に暮らしている人がいれば普段と違う様子を敏感に察知し、早い段階で認知症である可能性に気づけますが、一人暮らしだとなかなか気づくことができません。気づかないまま症状が進み深刻化していることが社会問題となっています。
犯罪被害に遭いやすい
昨今、高齢者を狙った犯罪が後を絶ちません。お金を騙し取る振り込め詐欺や悪質な手口で商品を売る悪質商法などの犯罪が多く、国民生活センターには毎年多くの被害相談が寄せられています。それ以外にも、電話でサービスを勧誘したり、訪問販売、インターネット通販などの犯罪も多くなっています。詐欺グループは一人暮らしの高齢者が抱える孤独や健康の不安、防犯の心配などさまざまな問題に付け込んで近づいてきます。偽りの親切を演出しているため、高齢者は騙されていることにすぐに気づけません。また、「被害に気づいても責任を感じて周囲に相談できない」などの理由もあり、高齢者を狙った犯罪が増えているのです。
大きくなる喪失感
環境の変化が喪失感を招くことがあります。定年退職で社会的な地位や役割を失ったり、配偶者や兄弟、友人など身近な人の死を体験する機会が増えたり、と環境が変化することでさらなる孤独を感じるようになるのです。また、高齢になると、以前に比べて身体的な機能も衰えるため、趣味に打ち込もうにも体力的に限界を感じ、生きがいを失った気持ちになることもあります。
このような喪失感がきっかけで老人性うつ病を発症してしまう人も少なくありません。実際に、老人性うつ病の有病率は13.5%というデータもあります。男性よりも女性の方がうつ病の発症ピークが長いため、女性の方が発症しやすいのですが、痴呆症と症状が似ているため発見や治療が遅れてしまうケースが多いようです。
頼れる存在になろう
高齢者をサポートする仕事
高齢者をサポートする取り組みはいろいろありますが、実際に従事しているのはヘルパーなどの介護士です。高齢者の増加に伴い、介護士の数も不足しているため求人も多く、未経験でもできるとあって、介護士として高齢者を支えることを選ぶ人も少なくありません。介護経験がない人も手厚くサポートしてくれる転職エージェントを利用すると、未経験者向けの求人もすぐにみつかります。